秒速5センチメートル(ネタバレ)

前作「雲の向こう、約束の場所」はどうにも印象が薄くて、鳥人間コンテストの話だったかな?
という記憶しかないんですが、今回、新海監督の言いたかったことは


人生色々あるよねー。遠距離恋愛(未満)が自然消滅することも、そりゃあるさー。


らしく、心当たりがある男共(特にオッサン? 挨拶で言ってた)にはビビッと来たようだ。
主人公に感情移入しまくって初恋の女の子と結ばれることを期待しまくった人には不評なんだろうなぁ。
感想とか見て回ったらハッピーエンド厨がウザそう。しかし、本作は作品にのめり込んで
感情を動かすのでなく、己の人生を反芻し、切なくなって悶えるのが正しい姿勢のような気がする。
特に、親が転勤族だったかでも評価が分かれるだろう。ちなみに僕ん家は転勤族でした(*ノノ) ポッ
というか、これまでの3作ともヒロインと離れ離れになるのは監督のトラウマか何かか。


サッカー→バスケ(部活動かどうかは不明だが)→弓道という、集団競技から自分との戦いであるスポーツへ転向して
内に籠もる度が上昇してるなあとは思ったが、ネタバレ解禁で「超映画批評」読んでみたら、この男のキーワードは
自己愛だそうで、ああナルホドという感じである。だんだんと明里と疎遠になっていくにつれ進む夢(妄想)と
送らないメール、「優しいが、この人は自分を見ていない(うろ覚え)」も、その一言で全てが腑に落ちた。
ナルシスト部分と、仕事辞めたことで周囲に色彩が戻った部分も、昨今の社会問題に対するメッセージかも知らん。


まあ、人生色々あるし、仕事辞めて、ちょっと立ち止まって周り見てみるのも良いんじゃない?


的な。新海さんは確固たる目的があってゲーム会社辞めてるけど。




ここからは会場到着から舞台挨拶、サイン会までのレポ。
公開される劇場は勿論「グッバイ、レーニン!」などでお世話になっているシアターキノである。



隣の代アニは営業中らしい。てっきり騒動の後、潰れたかと思ってた。



正直、北海道人を侮っていた。整理券配布の30分後に到着したのだが、列のブービー賞ゲット。
悔しいので、ビリの人に話しかけて悔しさを共有してみたり、「雲がきれいですよね」「そうですねー」と語ったりして待つ。



燦然と輝く「補助席になります」の文字。
3時間ほど時間があって暇なので、イエサブで労働に勤しむNに
「働いてる場合じゃないよ! 今日は新海誠の舞台挨拶の日ですよ!」
と話しかけて営業妨害を満喫した後、駅地下の四川飯店で坦々麺を食し、再び狸小路周辺に戻り
漫画喫茶で2時まで時間をつぶすのでした。
そして、開演。自分の後ろに7人ほど増えていた。結局、最終的に初回から3回まで挨拶をされたようだ。
通常席両脇の通路にパイプイスが並べられていましたが、最前列の首が痛くなりそうなスペースも座ってOKらしいので、
せっかくだから挨拶中の生新海誠様の全身を拝見してもよろしいでしょうか? (首が痛いけど)耐えなきゃ…!
今は耐えるしかない…! くやしいっ(ビクッビクッ
というわけで、最前列の左側を確保。RAISEちんが東京で挨拶を見たときは上がりまくっていたという話だったが、
さすがに全国を回っているだけあって落ち着いたもので、残念なような。毎回同じ話してるからか。
上映後の舞台挨拶が終わり、次の回の客の邪魔にならないよう並んで自分の番を待つわけですが、
実は、勝負はこれからなのです。気の利いた感想を述べたり、質問をしなければ、他愛もない
「今日はどこから来られました?」トークになりかねません。作品を見た直後に
何か言えといわれても簡単ではありませんが、ここ最近、作品に没入しつつも何かのきっかけで
批評的観賞モードに切り替わるスイッチが脳内に実装されたっぽい僕は頑張ります。
サインを書き終える時間を考えると二言、三言がせいぜいですし、あんまり語りだしてもウザいので基本的な
『「秒速5センチメートル」というタイトルは貴樹、明里の心が離れていく速度という解釈で良いですか?』
『ロケットの煙が塔みたいでしたね』
の2個に決定。2個目は前作を意識してます。
これに対する答えは、
貴樹、明里だけでなく、人の心(全般?)についてイメージされてるとか。
絵を作ってから、後から見たら塔みたいだったそうで、最初から意図されたものじゃなかったようです。



で、貰ったサイン。猫(?)が可愛い。右は作画監督の西村貴世さん。



予告編つけっぱなしで気分盛り上げながらこれ書いてるんですが、なんか居たたまれない気持ちになってしょうがありません。
いかん。この作品は鬼門だ。